みなさん「フィボナッチ」はご存じですか? 以前『離散数学「数え上げ理論」』(講談社)を読んだとき、フィボナッチ数列について書かれていて興味を持ちました。1組のつがいのうさぎから毎月増えていくうさぎの組数、松ぼっくりのうろこの数、貝のうずまきなど、自然界でよく見られる数列です。このフィボナッチ数列がどのように発見されたのか、また黄金比との関連など、数学が苦手な私が読んでもおもしろかったです。数式も出てきますが、難しいことは抜きにしてフィボナッチ数列の不思議な世界を楽しめる読み物です。
古代ローマ時代の人々の暮らしを1日の時間の流れに沿って再現した本です。イタリアでは40万部を超えるベストセラーだそうです。「午前6時ー裕福な人が住む邸宅」「午前6時15分ー室内装飾にみる古代ローマの趣味」「午前7時ーローマ式の服装」「午前7時10分ー女性のファッション」といった具合に、朝起きてから寝るまでの時間で、住宅から服装、食事のことなどさまざまなことを解説しています。テーマで切らずに時間を追っていくことで、貴族や奴隷、民衆の暮らしを生き生きと紹介しているところがおもしろかったです。
1998年ニューヨークのクリスティーズで、ドイツの無名画家の作品として1万9000ドルで落札された絵が、レオナルド・ダ・ヴィンチの真作だと判明。170万円で落札されたものが、時価130億円超の絵になったのです。実際に鑑定を担当した光学調査の専門家たちは、どうやって真作であることを証明できたのか、120点におよぶ豊富な図版とともに解説しています。まるで科学捜査を見ているよう。真贋鑑定がどのようなものなのか、最新のデジタル画像解析技術に驚きながら、ミステリー小説を読むような興奮が味わえました。
平城遷都1300年記念事業の一環として刊行された記念出版物の第2弾です。ちょうど1年前に出た第1弾『日本と東アジアの潮流 これナラ本 』は、主に文化交流について書かれていました。今回は経済と政治の話で、日本を中心とした東アジアのつながりをテーマにしています。編集は第1弾と同じく松岡正剛さん。日本総合研究所会長の寺島実郎さんや国際交流基金理事長の小倉和夫さん、青山学院大学教授の榊原英資さんなど、40人の著名人が寄稿しています。平城遷都の単なるガイドブックではなく、これからの日本について考えさせられる一冊。
文明を見る方法にはいろいろありますが、「土」で見たのが本書です。著者はワシントン大学の地形学研究グループの教授、デイビッド・モントゴメリー。土壌浸食による土の寿命が文明崩壊の主原因だといい、古代文明から20世紀アメリカまで、土の歴史と人類の関係を解き明かします。文明論の本では、『銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎』(草思社)が大ヒット。本の目利き151人へのアンケートによって選ばれた「ゼロ年代の50冊」で1位になった本です。『銃・病原菌・鉄』を読んだ方にも本書をオススメしたいです。
日本美術史の入門書です。テーマをたてて伝統的な作家と現代の作家を比べるという、よくある美術史の本とはまったく違った視点で描かれているのがおもしろいところ。見立[みたて]、間[ま]、傾[かぶき]、景[ジオラマ]、霊[アミにズム]など、章ごとにテーマを設け80人以上の作家を比較。例えば、山口晃と狩野永徳、会田誠と尾形光琳、春信とアラーキー、曾我蕭白(そがしょうはく)と横尾忠則などを比べています。現代美術と歴史的美術を貫くものはなにか、日本美術史が丸ごとわかる一冊です。
ドイツの哲学者ニーチェというと、なんだか難しいというイメージがあるかもしれませんが、実はそうではありません。本書はニーチェが残した言葉を、さらに読みやすく訳しながら、「己について」「生について」「心について」「人について」「知について」などに分類。1つのキーフレーズとその意味が、1ページずつ掲載されています。人生のヒントになる名句そろい。汎用性があり、どんな人にも役立ちそうなので、誰かにプレゼントしても喜ばれそうです。装丁も素敵ですし、分厚いので、リボンをかけても似合います。
著者の岩村暢子さんは2003年に『変わる家族 変わる食卓』(勁草書房) を発表。10年以上に及ぶ食卓調査の集大成として出したのが本書です。食卓は家族を映し出すもの。昔の常識は今の非常識。ごはんに味噌汁におかずという、これまでの普通のごはんが今は普通ではなくなっているようです。朝食がお菓子だったり、味噌汁を家族で回し飲みしたり、加工食品尽くしだったり、家族がバラバラのものを食べていたり。これらの食卓の写真を見て、うちと同じだと安心するのかギョッとするのか、信じられないと笑うのか。私の場合は、他人事ではなかったので笑えませんでした。
自己啓発やイメージトレーニングなどの心理的効果を科学的に検証した本。「マイナス思考を抑制しようとすると、人はかえってその考えにとり憑かれてしまう」「人間の幸福感のおよそ50%は遺伝で決まっていて、変えることができない」「『ポジティブ・シンキング』の実践者はダイエットにも恋愛にも失敗しがち」「ほめられて育った子供は、失敗を極度に恐れる情けない大人になる」等々、ドキッとすることばかり。ただ水をさすだけではなくて、本当はどうするのがいいのかということまで書かれています。数々の実験を元に科学的に検証しているところが、おもしろいです。
大腸菌というと、汚いイメージやO-157のように悪いイメージが定着しているので「新年早々、大腸菌の本だなんて……」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。一般人からは嫌われている大腸菌ですが、科学者の間では「進化のカギを握るミクロな生命体」として大人気。実験でよく使われており、数々の分野で研究者たちにノーベル賞をもたらしている、科学界の大スターなんだそうです。そんな大腸菌が、いかに科学の進歩に役立ってきたかを知らしめるサイエンス書。これを読めば、大腸菌のイメージが変わると思います。
NHKのドラマ「坂の上の雲」や「龍馬伝」の影響か、ここのところ幕末や明治がクローズアップされているように感じます。本の世界でも近現代史のおもしろいものが多く出てきました。『伊藤博文 近代日本を創った男 』もそのひとつ。伊藤博文がどんな人物だったのか、片寄った見方をせずに公平な立場で書かれている貴重な伝記ものです。今までの歴史的認識とは、違った角度で語られているのもおもしろいところ。以前ご紹介した『父が子に語る日本史』の近現代史版『父が子に語る近現代史』(トランスビュー)もおすすめです。
『森の生活』『ウォーキング』など、多くの著書で知られるソローは、詩人であり作家であり思想家でもありました。本書はソローの著書などから彼の言葉を集めたもので、自然、季節、生き物、歩く、社会、労働、貧者、宗教、生きる、真実、人間など、テーマ別に含蓄のある言葉が並んでいます。日本語の翻訳が出ていないような古い本からの抜粋もあるので、ソローファンは必見です。ガンジーやキング牧師、マンデラ、ケネディなど、多くの人に影響を与えたというソローの言葉。迷っているときにページをめくれば、何か気づくことがあるのではないでしょうか。
東京大学教授で日本近現代史を研究している加藤陽子さんが、歴史好きな中高生に向けて行った5日間の講義をまとめたものです。戦争はなぜ起きるのか。日清戦争、日露戦争から第一次世界大戦、太平洋戦争まで、戦争を連鎖としてとらえながら、その時々で国を動かすトップの人たちが「もう戦争しかない」と思ったのはなぜなのか。もし自分がその立場にいたらどんな道を選んだか、学生に語りかけて、考えさせながら講義が進みます。史料としていろいろな人の言葉やエピソードが紹介されているのもおもしろいところ。中高生向けだからといってグレードを下げているわけではないので、大人が読んでも十分楽しめます。人文コーナーでいちおしの本です。
当たり前すぎて見過ごされてきた「協力関係」の原理原則を説いた翻訳本です。原題は『HELPING』。これからの時代「支援」は重要なキーワードになってくると思います。開発援助、ボランティア、介護、母子家庭への支援など、支援にもいろいろありますが、どんな支援でも支援者と被支援者が対等な関係を築くことが大切だそうです。支援を行うために知っておいたほうがよいこと、支援を受けるときの心構えなど、「支援学」というと難しく感じるかもしれませんが、日々の暮らしに役立つ知識が得られました。
画家の山口晃さんのエッセー漫画です。山口さんといえば、公共広告機構のマナー広告「江戸しぐさ」や日本橋三越本店の100周年キャンペーン、書籍の挿絵やCDのジャケットなど、多方面で活躍中の人気画家。人物や風景などを精緻に描き込んだ大和絵の鳥瞰図などは、インパクトがあるので一度見たら忘れることはないでしょう。この本は、展覧会用に作っていたすゞしろ日記や、東大出版会のPR誌『UP』で連載中の「すゞしろ日記」をまとめたものです。画家の日常生活がユーモアたっぷりに描かれています。
0年安保闘争から日大闘争、安田講堂攻防戦までを振り返り、社会科学的に検証した本です。なぜ1968年に学生運動が高揚したのか。著者の小熊英二さんは「高度経済成長による社会の激変に、若者たちが集団アレルギー反応を起こした」のが最大の原因だと言います。当事者の回想録ではなく、あの時代の叛乱について客観的に分析し、研究したもの。1,000ページを超える分厚い本ですが、なんとこれは上巻。下巻「叛乱の終焉とその遺産」もこの後発売になります。『1968年に日本と世界で起こったこと』(毎日新聞社)などで時代背景を確認しつつ、読んでみてはいかがでしょうか。
平城遷都1300年記念事業の一環として刊行された記念出版物。3部作の第1弾が本書です。タイトルの「NARASIA(ナラジア)」とは、奈良とアジアをひっかけたことばで、双方の歴史的未来的つながりを象徴するもの。この1300年間を振り返りながら、未来や将来を予想します。編集構成を担当したのは、『知の編集術』(講談社)や『知の編集工学』(朝日文庫)などの著作で知られる松岡正剛氏。歴史本とは思えないポップなビジュアルも本書も見どころのひとつ。歴史はもちろん、編集やデザインに関心がある方にもお薦めしたいです。
希望学とは「希望を社会科学する」を合い言葉に、東大社会科学研究所が中心となって2005年から始められた新しい学問です。希望なき時代といわれる今だからこそ、希望について考えていきたい、そんな思いもあって店頭に希望学のミニコーナーを設置しています。希望学シリーズは全4巻あり、岩手県釜石市で実施された地域調査について書かれた『希望学2 希望の再生』までが発売中。6月に『希望学3 希望をつなぐ』、7月に『希望学4 希望のはじまり』が発売される予定です。既刊の新書『希望学』(中公新書ラクレ)もあります。
肉体という観点からみた芸術論。西洋の芸術理念で「自然の模倣」という言葉がありますが、この「自然」とは「人間」のことだそうです。章立てがユニークで、「『日本人離れ』の美学」「三島由紀夫のバロキスム」「谷崎潤一郎vs三島由紀夫」「人形と彫刻」「寸断された身体」「変身と怪物」と続きます。一般的な芸術論と違う視点で書かれているのが新鮮です。最近、読み物としておもしろい芸術書がいくつか出ています。『ミュージアムの思想』(白水社)、『手の美術史』(二玄社)、『怖い絵』(朝日出版社)などがおすすめです。
幕末の将軍、慶喜は自ら国事に奔走した将軍でした。儀礼や伝統、血統に重きをおく「権威の将軍」から「国事の将軍」へ。12代家慶から、家定、家茂、慶喜まで、頑張れば頑張るほど自らの権威を落としていった彼らが、幕末の危機にどう対応していったのか。幕府を倒す側の視点ではなく、守る側の視点で書かれているのが新鮮に感じました。徳川将軍の話となると、もっと前の将軍の話が多いので、家慶、家定、家茂らの人物像や苦闘を知ることができて、おもしろかったです。
コロンビア大学教授の社会学者スディール・ヴェンカテッシュが、フィールドワークでシカゴの麻薬売人の世界に飛び込み、そこで見たこと、体験したことを語ったノンフィクション。おもしろそうなので、今ちょうど読もうと思っているのがこの本です。ヴェンカテッシュの話は、『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)の中でも取り上げられていたので、ご存じの方も多いのでは。貧困に苦しみ、暴力事件も絶えないスラムですが、そこで暮らすギャングや住人の間には、意外にも友情や思いやりといった、あたたかな絆もあるようです。麻薬が蔓延するゲットーで著者が見たものとは?
インドの政治家が書いた『父が子に語る世界史』(みすず書房)というロングセラーがありますが、それの日本史版と言えるのが本書です。東大の准教授、小島毅氏が冗談を交えながら、ユーモアたっぷりに歴史を語ります。おもしろく読める歴史書。日本史を学ぶ意味から入り、今の歴史教育、歴史学への批判もあります。大人が読んだ上で、子供に歴史を説明してあげるのに役立つと思います。知らなかったことが多かったので参考になりました。
著者の内田樹(たつる)氏は、神戸女学院大学の教授。雑誌でエッセイなども書かれていますが、これが大変おもしろい。本書は、大学院での教育論演習をまとめたもの。一番大事なのは現場。今の政治家や官僚、メディアはよくないので、教育のことは気にしないでくれ、という前書きから始まり、教師や親は首尾一貫していなくてもいい、矛盾があって当たり前、競争は学力を下げるなど、独自の教育論を展開しています。日々、葛藤している現場の先生や親御さんは元気づけられると思います。『こんな日本でよかったねー構造主義的日本論』(バジリコ)などもおすすめです。
『ナショナルジオグラフィック』誌とフォトライブラリーのゲッティ イメージズのコラボ企画。ここ160年くらいにおこった重要な出来事を100個ピックアップし、世界を変えた100日として、写真と共に振り返ります。1851年ロンドンの万国博覧会から、クリミア戦争、リンカーン大統領暗殺、ライト兄弟の初飛行、タイタニック号の沈没、北極点到達、オゾン層の破壊、DNAの分子構造の発見等々。最近のものだと、スマトラ沖大地震、米国を襲った大型台風のカトリーナなどが載っています。日本にはなじみのないトピックスもけっこうありますが、それがまたおもしろい。カメラがとらえた瞬間を追体験できます。
日本を代表する政党として自民党が成功してきたのはなぜか。何が原因で衰退しはじめたのか。比較政治学の学者である著者が、キーパーソンとして挙げているのが「自民党システムへの反逆者」小沢一郎氏。それと「救世主にして破壊者」小泉純一郎氏の二人です。江戸時代の官僚制の伝統を受け継いだ自民党システムとはどんなものなのか。本書にはエピソードは書かれていませんし、ただ自民党を批判する内容でもありません。著者が専門家の立場から、戦後の自民党政治の仕組みや変容、今後の日本の政治について語っています。
戦争関連の本でおもしろいものを1つご紹介します。紀元前480年のサラミスの海戦から、十字軍、ワーテルロー、湾岸戦争まで、歴史を変えた50の戦いについて戦闘図や戦力表、イラスト、絵画などの図版を多用して解説しています。古代から現代まで、選び抜かれた50の決戦の中で、日本軍が出てくるのは日本海海戦とミッドウェー海戦の2つ。高価な本ですが、兵士の配置などほかではなかなか見られない図版が載っているので、戦争ものが好きな方にはおすすめです。
SFっぽいタイトルですが、大真面目。ロケットに乗らなくても、エレベーターで宇宙に行けるようになるかもしれないという、ウソみたいな本当の話があるのです。その名も「SPACE ELEVATOR」構想。著者は実際に宇宙エレベーターを研究している人です。技術の進歩と新しい素材の発見で、宇宙エレベーターも夢ではなくなったとか。この宇宙エレベーターとは一体どういうものなのか、具体的に説明されています。もし、宇宙エレベーターができたら、ロケットよりも安く宇宙に行けそうなので、生きているうちに私も宇宙旅行ができるかもしれません。
自らも写真を撮る作家の大竹昭子さんが、この1年のあいだに目にした写真の中で、「この写真はすごい」というものだけを100点集めた写真集です。これらの写真は、写真集や雑誌、展覧会、ポスター、インターネットなど、さまざまな場所で見つけたものなので、有名な写真家の作品もあれば、子供が撮影したものもあり、とバラエティに富んでいます。どう見てもぬいぐるみにしか見えない薄汚れたパンダの写真、デコトラ(デコレーショントラック)の写真、蛙のアップ等々、有名無名、プロ・アマ問わず、ユーモラスな写真に出会えます。
美しい写真とともに世界の聖地を紹介した、スピリチュアル・スポットの写真集。掲載されているのは62カ所で、エジプトのピラミッドやカンボジアのアンコールワット、ペルーのマチュピチュなど、スピリチュアル・スポットと聞いてすぐに思いつく場所だけでなく、ベトナムのハロン湾、日本の紀伊山地なども紹介されているのが興味深かったです。紀伊山地のほか、日本では熊野と富士山が掲載されています。ハードカバーの大型ビジュアル本なので、これを持って旅に出るというよりは、ゆっくり本を見ながら巡礼している気分を味わい、美しい写真からパワーをもらうのがよさそうです。
人類が滅びたら世界はいったいどう変わるのか。私たちが暮らしていた家はどうなる? 高層ビルは崩れるのか? ピラミッドは残るのか? 人類以外の生物は? この本は、人類が姿を消した後の地球環境を科学的に検証して予測したものです。10年後には木造家屋の屋根が崩れ、20年後にはニューヨークが陥没、300年後にはブルックリン橋が崩壊し、数千年後には氷河期に入り、30億年後には新たな生命体が誕生、50億年後に地球が燃え尽きるーー。シミュレーションにより未来の仮想世界が明らかにされます。「TIME誌が選ぶ2007年ベストノンフィクション」の第1位を獲得。
新刊ではありませんが、最近読んでおもしろかったのがこの本。県境がまだ確定していない県境未定地が23都県にあるとか、北海道にも青森県があるとか、伊豆諸島が静岡県ではなく東京都になったのはなぜか、四国には愛媛県と高知県しかなかった等々、「県境」にまつわるおもしろいエピソードが満載です。また、以前ご紹介した『ウソ読みで引ける難読語辞典』の第2弾ともいえる地名辞典「ウソ読みで引ける難読地名」(小学館)が出ました。巻末のウソ読み索引を使えば、読めない地名もすぐ調べることができて便利。例えば、「上似内(かみにたない)」は、「うえにうち」で引けます。
子供と一緒に見たら、盛り上がること間違いなしの迷路の絵本です。ヤマタノオロチ、西遊記、七夕、ラーマーヤナ、アラジンと魔法のランプ、バベルの塔、ロビン・フッド、ラビリンスなど、伝説や神話の絵に張りめぐらされた迷路をたどり、ゴールを目指します。細かく描き込まれた絵は、大人が見ても楽しめるクオリティです。「時の迷路」「文明の迷路」「自然遺産の迷路」「進化の迷路」と続く、迷路シリーズの第5弾。絵の中にひそむ隠し絵を探したり、クイズに答えたり、迷路以外の楽しみもあります。
テルミンという楽器をご存知ですか? 旧ソ連のテルミン博士が発明した、世界最古の電子楽器です。『大人の科学マガジン』Vol.17の付録は、このテルミン。本誌には、付録の使い方からテルミンの基礎知識、矢野顕子さんの対談や電子楽器についての記事などが掲載されています。付録が魅力のマガジンですが、本誌もなかなか。書店スタッフの間でもちょっとしたブームで、テルミンの演奏会でもやろうかと話しています。ステレオピンホールカメラやレコード盤録再蓄音機、スパイセットなど、毎号付録が楽しみ。最新号Vol.18は風力発電キット、次号Vol.19はガリレオの望遠鏡だそうです。
朝日新聞土曜版「be」で連載されていた「キミの名は」を検定風にまとめたものです。身近な商品や企業の名前の由来が、○×や間違い探し、穴埋め式、並べ替え、三択、四択などのクイズ形式で紹介されています。かっぱえびせんは、なぜ「かっぱ」なのか? サランラップはサラとアン、二人の女性の名前をとって付けられた? ダスキンは当初「株式会社ぞうきん」という社名が考えられていた? そう問われると、答えが気になりませんか。商品編、ネーミング編、トリビア編、史実編、デザイン編の5科目、全120問にぜひ挑戦してみてください。
冥王星が惑星から外されたニュースは、記憶に新しいと思います。では、なぜ外されたのか。技術の進歩により、観測の精度が上がったことや惑星探査機の活用によって、冥王星は多くの太陽系外縁天体の1つにすぎないとわかったからです。冥王星に始まり、天文学の進歩と惑星発見の歴史を振り返りながら、太陽系の天体の真実に迫ります。私にとってはまったく未知の世界。知っているようで知らなかった惑星の謎に興奮しました。著者の渡部潤一氏は、冥王星を惑星から外すことを決定した国際天文学連合の「惑星定義委員会」のメンバーだそうです。
ある鍼立師によって戦国時代に書かれた針の秘伝書『針聞書』(はりききがき)に登場する63種類の虫を解説。例えば、心臓がばくばくいうような症状は「馬癇」(うまかん)という虫の仕業で、この馬癇は心臓で大暴れする馬の姿をしています。大病の後に胃に現れる虫は、「大病の血積」(たいびょうのけっしゃく)という胃袋のような形をした虫。このほかにも「ソリの肝虫」や「悪虫」など、『針聞書』は一人前の鍼灸師になるための知識をまとめた書ですが、さまざまな症状を体の中にいる虫で表現しているのが面白いところです。本だけでなく、ここで例に挙げた4つの虫のフィギュアも販売中です。実際の『針聞書』は九州国立博物館に展示されて
タイトルの通り、空を見上げて雲を見るのが楽しくなる本です。口絵に様々な雲の写真が載っていて「この雲は何でしょう?」とあるのですが、ほとんど分かりませんでした。雲は高さによりカテゴリー分けされているそうで、積雲、層雲、層積雲は低い空の雲、高積雲、乱層雲は中間の空の雲、巻雲、巻積雲は高い空の雲だとか。それぞれの雲はどうしてできるのか、どんなところで見られるのか、雲に関する知識とうんちくが詰まった一冊です。著者はイギリスの雑誌「アドラー」の発行人でもあり、デザイナーでもあるギャビン・プレイター=ピニン氏。雲好きが高じて作った「雲も愛でる会」のサイトには、世界から会員が集まっているそうです。
イギリス人作家トニー・ロビンソンによる、ローマ時代からヴィクトリア時代までの最悪の仕事を集めた「世にも過酷なハローワーク!」。ここでいう最悪の仕事とは、誰もが嫌がる不快な仕事や辛い仕事、危険な仕事などです。例えば、食べては吐き、吐いては食べを繰り返していたローマ時代の貴族たちですが、その反吐を掃除するのが反吐収集人。騎士のよろいの中にたまった汗や糞尿を洗う武具甲冑従者、王様の御便器番、煙突掃除人、ネズミ捕り師、ボロ布拾い、火薬小僧等々、イギリスの歴史と発展を陰で支えてきた過酷な職業ばかりが紹介されています。どれも辛い仕事ですが、その中でも最悪な仕事はどれか? 各時代ごとにワースト1も載っていま
生物と無生物--。人は何を見て生命あるものと無生物を瞬時に見分けているのでしょうか。本書は「生命とは何か」について、青山学院大学の福岡伸一教授が考察した本です。分子生物学者としての自身の研究や偉大な科学者達のエピソードをふんだんに盛り込みながら語られるDNAの発展物語は、読み応え十分。本書にあるように「生命とは自己複製するシステムである」「生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブルアム)にある流れである」と言うと難しそうに聞こえるかもしれませんが、福岡教授の見事な文章のおかげで最後まで楽しく読めました。専門書としてではなく、一般読者に向けて分かりやすく書かれています。
荒俣宏さん監修のこの事典は、あ行「アラマタ・ヒロシ」から始まり、最後の「ンゴロゴロ」まで全303項目が、おもしろおかしく解説されています。読者の好奇心を刺激し、引き込む力はお見事。教科書のように暗記しようと努力して読まなくても、頭の中にすんなり入ってきます。「昆虫食」「おなら」「女房言葉」など、普通の事典とは違った荒俣さんらしいセレクションも魅力。ゴルフボールにえくぼがあるのはなぜ? なんてことも、この本を読んで初めて知りました。ふりがな付きで小学校高学年くらいから大人まで楽しめます。寄藤文平さんのコミカルなイラストも効いています。
明治時代に神戸港の請負労働者をまとめる組みとして誕生した山口組。そんな事実を耳にしたのも初めてなら、ヤクザが担っている社会での役割や、戦後どのような変貌を遂げて現在のかたちになったのか、義理人情の世界がなくなってきたのはなぜかなど、とにかく知らないことばかり。これまで見えてこなかった本当の姿がわかり、興味深かったです。著者はヤクザの組長の子として生まれ、『突破者』『右翼の言い分』などの著作がある宮崎学さん。ヤクザを否定せず、かっこいいとも言わない。適度な距離を保った考察がすばらしく、山口組を通して、日本社会とヤクザの関係を明らかにしています。
研究のために自分の体を実験台にした19世紀、20世紀の科学者と医学者の物語です。消化の研究のため自分の胃液を吐き出したり、筒の中に食べ物を入れて丸飲みしたり、人間はどのくらいのGに耐えられるのか試したり、黄熱病にかかるために蚊に血を吸わせてみたり、持ち出し持ち込み禁止の病原菌を自国で研究したいがために体内に入れて運んだ者など、うそのような本当の話がたくさん紹介されています。研究のためならば自らの命も危険にさらすその熱意に感動しました。科学や医学の発展の陰には、学者たちのこうした努力があったのだと改めて気づかされました。
連合国軍総司令部(GHQ)の専属カメラマンとして、1947年に来日したディミトリー・ボリア氏の写真集です。当時の写真ですとモノクロが圧倒的に多い中、この写真集はカラーばかり。「GHQによる民主化」から始まり、「日本再軍備・サンフランシスコ講和への道」「急速に発展を遂げた東京」「東京の庶民の生活」など、テーマごとにまとめられています。昭和天皇がにこやかに微笑んでいる写真や米軍住宅の前で遊ぶ子供達の写真、丸の内や銀座、新宿の様子など、貴重な写真がたくさん見られます。
工場好きにはたまらない、工場の鑑賞ガイドが付いた写真集です。「え?工場の写真?」と思われるかもしれませんが、これがなかなかおもしろい。照明に照らされた夜の工場など、美しい写真がいっぱいです。京浜、京葉、四日市、鹿島、阪神など代表的な工業地帯のオススメ鑑賞スポットの紹介や工場鑑賞の基礎知識、「大切なあの人と行くはぐらかし工場鑑賞デート」など、工場鑑賞ガイドのほうも見応え十分です。
米国ハーバード大学教授が書いた『TSUKIJI』の翻訳本です。長い間、築地市場で実地調査を行ったテオドル・ベスター教授が、築地市場の歴史と変遷、取引や競りの様子、市場で働く人たちの生活、場内で使われている俗語、流通の仕組みなどを、600ページ以上のレポートにまとめました。今まで築地市場についてこんなに詳細に書かれた本は見たことがなく、しかもこれが翻訳本であり、著者は人類学の教授というから、いったいどんなことが書かれているのか興味を持ちました。築地市場を軸に、日本の文化や経済、社会制度、日本人のアイデンティティなど、話題は場外にまで広がります。外国人ならではの視点が新鮮です。
『明鏡国語辞典』の監修者と編集スタッフによる新語辞典。辞書に載せたい言葉を公募し、11万件の応募作品の中から選ばれた1,300語を収録した辞典です。みなさんは「汚ギャル」「与謝野る」「フランシスコ・ザビエーる」「吉る」の意味がわかりますか?「おぎゃる」は汚い女子中高生、「よさのる」は与謝野晶子の『乱れ髪』から髪が乱れていること、「~ざびえーる」は禿げていること、「よしる」は牛丼の吉野屋へ行くこと、なんだそうです。初めて耳にする言葉もあれば、普段使っている言葉もあり、読みながら日本語の多様性を改めて実感しました。
東京23区内にある江戸時代の坂を網羅した本です。たとえば、品川駅からスタートして田町駅まで歩くコースなど、坂を見ながら周辺の名所や史跡まで回れる散歩ガイドになっています。名前の由来や、江戸時代に坂から見えた景色など、どれも興味深い内容です。著者は東京坂道学会の会長、山野勝さん。東京坂道学会の副会長はタレントのタモリさんで、『タモリのTOKYO坂道美学入門』(講談社)という本もあります。
読めない言葉の意味を調べるにはどうしたらよいのか。お客様にこんな質問をいただいたことがあります。もし、今度同じ質問を受けたら、迷わずおすすめしたいのが本書です。「不知火(しらぬい)」は「ふちか」で、「固唾(かたず)」は「こすい」など、間違ったウソ読みで引けるというもの。人によって間違い方も異なるとは思いますが、なかなかユニークな辞書です。漢和辞典でもおもしろいものが出ました。『現代漢字辞典~漢ぺき君で引くサンルイ・ワードバンク~』は、漢字の構成要素の読みで引く辞書。たとえば「膜」ならば月と草冠と日でそれぞれの頭文字をとって「つくひ」で引くことができます。
古代の動乱からアジア・太平洋戦争まで、日本の内乱や戦争をテーマとした『戦争の日本史』シリーズの刊行が始まりました。全23巻のうち、最初に刊行されたのが15巻の本書『秀吉の天下統一戦争』です。著者は、戦国史に詳しい小和田哲男先生。歴史ものにもいろいろありますが、“戦争”できっているのがおもしろいところです。賤ヶ岳の戦いや山崎の戦い、小田原攻めなど、どの戦についても詳しく解説されており、秀吉の戦略、戦術がよくわかります。ビジネスにも役立つかもしれません。
『世界動物大図鑑』や『地球大図鑑』などに続く本書『人類大図鑑』は、筋肉や内臓など人間の身体的な仕組みにとどまらず、起源や心、文化、社会、民族、言語、宗教、未来など、人類のあらゆる面にスポットを当てた本です。とにかく情報量がすごい。著者は、生殖医療の第一人者ロバート・ウィンストン。彼が率いる専門分野のライターや顧問なども執筆を担当しています。どのテーマも真正面から取り扱っているのがいいところ。写真が豊富でビジュアルガイドとして十分に楽しめます。
果たしてこの顔はどういう感情を表しているのか、そんな表情を読むテストから始まるこの本の著者は、アメリカの表情研究家でCIAやFBIで嘘を見破る表情分析ソフトを開発した心理学者。この本は、表情から相手の本音を読む技術を習得すると同時に、自分の表情をコントロールして感情や嘘を見破られないようにできる本です。ということは、この本を読んで本音が顔に出ないようにしている人が相手だと、その表情から本音を読むのは無理ということなのか。そんな疑問はさておき、なかなかおもしろい本です。
そういえば仏像の身長ってどこからどこまで計るべき? こんな疑問も解決してくれる本書。実は額の髪の生え際から足の先までを基準にしているそうです。如来、菩薩など仏像には組織があり、硬いのや柔らかいのがあったり、痩せていたり太っていたり、中には何かが入っていたり……等々、知ればおもしろくてたまらない、仏像の秘密が明らかに。東京国立博物館の展示からできたガイドブックです。入門書としてオススメ。これを読めば、仏像を見るのがおもしろくなるはずです。
「お腹がへったら泥棒してもいいと思う?」「どんなときでも親の言うことはきかないとダメ?」というような、こどもの素朴な疑問と向き合う本です。どの疑問にも「これだ!」という回答が用意されているわけではなく、読み手に深く考えさせるような答えがいくつも出てきます。こどもと一緒に読んで、真剣に語り合ってみてはいかがでしょうか。日本語版には、監修を担当した重松清さんの短編がついてきます。
東京R不動産は、いわば不動産のセレクトショップ。賃料18万5000円の南イタリア風の家、屋上が異常に広い家、レトロな建物、倉庫っぽい家、屋上に風呂がある家、日本庭園付きマンション、幅が1m73cmしかない家--等々、当たり前の部屋とはひと味違う、個性的な物件を紹介した本です。東京にはこんなにおもしろい部屋があったんだとしみじみ。書名の「東京R不動産」と同名のサイトがあり、インターネットでも物件が見られます。
本城直季氏のファースト写真集は、まるで精巧に作られたミニチュアを撮影したようなユニークな写真ばかり。上空から撮影したビル街や高速道路、プール、人ごみなど、どの写真も現実の世界でありながら、模型のように見えるから不思議。別世界をのぞいているような楽しい気分になります。まずは実際に見てみてください。ありそうでなかった、おもしろい写真集です。
ユダは裏切り者ではなく、イエスが信頼する忠実な使徒だった――。エジプトの砂漠で発見された古文書の修復・解読により、これまでの通説とはまったく異なる新解釈を展開する本書。新たに見つかった『ユダの福音書』の中身とは? 映画公開でさらなるブームを巻き起こしそうな『ダ・ヴィンチコード』のファンにオススメしたい、ミステリー感覚で読めるノンフィクションです。
中学生以上のすべての人を対象にしたヤングアダルト選書「よりみちパン!セ」シリーズの新刊。『<民主>と<愛国>』で毎日出版文化賞などを受賞した小熊英二氏が、なぜ学校に行かなくちゃ行けないの?から始まり、学歴社会や侵略の歴史、憲法9条問題など、現代社会についてやさしく語っています。このシリーズはテーマによって著者が異なり、本書のほかにも玄田有史氏の『14歳からの仕事道(しごとみち)』や養老孟司氏の『バカなおとなにならない脳』など、おもしろいものがあります。
哲学者であり、日本文化研究者である梅原猛氏の最新刊。好評だった『梅原猛の授業 仏教』は、以前、梅原氏が中学校でした仏教の授業をまとめたもので、宗教の歴史やなぜ宗教が必要なのかといったことが語られていました。今回はおとなに向けて書かれており、六波羅蜜や円空についてなど、前回よりも具体的な話が多くなっています。内容は高度になっていますが、易しい語り口なので読みやすさは変わりません。仏教の入門書としてオススメしたい一冊です。
古代から現代まで網羅した日本美術の概説書。縄文から手塚治虫、宮崎駿まで、絵画や彫刻、建築、アニメーションなど、さまざまな分野が取り上げられています。図版が多く、わかりやすので、日本美術の入門書としてもオススメしたいです。執筆は東京大学、多摩美術大学名誉教授の辻惟雄先生。単独で書かれているのが読みやすさ、わかりやすさにつながっていると思います。装丁は横尾忠則さん。
NHK教育の番組「3ヵ月トピック英会話-ハートで感じる英文法」のテキストをまとめたもので、前置詞、冠詞、現在完了、進行形など12のトピックが掲載されています。「イメージでつかむ」前置詞の世界、「導く」thatの気持ち、「迫ってくる」現在完了など、単なる暗記ではなく、英文法をイメージとして捉える学習法がユニーク。著者の大西泰斗先生といえば、『ネイティブスピーカーの英文法』(研究社出版)など、ネイティブスピーカーシリーズもオススメです。
『仕事のなかの曖昧な不安』や『子どもがニートになったら』の著者であり、ニート論の火付け役である玄田有史さんの新作。中高年の雇用が若者の雇用をうばっているなど、働かない若者に問題があるのではなく、ニートをつくりだした社会や大人に問題があるのではないかという視点で語られています。説得力がある論述に共感できる部分が多く、統計資料などのデータが豊富に掲載されているのもおもしろいところです。