日本経済新聞

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丸の内officeオフィス街の本屋さん>近藤 郁央さん(一般書担当)

オフィス街の本屋さん

ティファニーで朝食を

ティファニーで朝食を 新潮社 1,260円

トルーマン・カポーティの名作『ティファニーで朝食を』が、村上春樹の新訳で登場しました。『ティファニーで朝食を』と言えば、オードリー・ヘプバーン主演の映画のほうも有名です。オードリーが演じたヒロイン、ホリー・ゴライトリーのイメージが、本と映画ではかなり違っていました。また、最初の日本訳が出版された1960年頃は、ティファニーと聞いてピンとくる読者は今よりも少なかったはず。ティファニーブルーのカバーをまとった村上訳の新刊は、ティファニーを知っている今の日本人が読んで面白い、時代にぴったり合った新訳です。すでに読んだ方も、十分楽しめると思います。


そうか、もう君はいないのか

そうか、もう君はいないのか 新潮社 1,260円

『総会屋錦城』『小説日本銀行』『落日燃ゆ』など数多くの作品を世に送り出し、昨年(2007年)3月に亡くなった作家の城山三郎さん。経済小説のパイオニアとして知られる城山さんが最後に書いたのは、7年前にがんで先立たれた奥様への思いでした。娘さんが遺稿を発見し、それを編集者が整理。昨年暮れに『小説新潮』で掲載されたものです。本書には、二人の出会いから奥様の看病と最期の別れに至るまで、さまざまなエピソードが綴られています。狙って書かれた感じは一切なく、じーんとくるところがいっぱいで、涙なしでは読めない作品です。1月25日に発売されたばかりですが、ものすごい売れ方です。


須賀敦子全集 第1巻 河出文庫 998円

イタリアに長く暮らした須賀さんの、滋味あふれるエッセイ。深いまなざしでつづられるさまざまな出会いが語られています。最晩年の10年間で最良の文章を残した須賀さん。なんと先日より彼女の全集の文庫化が始まりました。本書はその第1巻です。イタリアというと、塩野七生さんの長編『ローマ人の物語』がよく知られていますが、須賀さんの作品には塩野さんとは違った、別の魅力と感動があります。須賀さんの文章をまだ体験していない皆さんにもぜひ味わっていただきたい、すばらしい本です。